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2026.08.31

二日酔いになりやすいのは男性?女性?体の違いを解説

コラム

「同じくらいの量を飲んだはずなのに、自分だけ二日酔いがひどい」——そんな経験から、男女で二日酔いのなりやすさに違いがあるのでは、と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。実際に、体の構造やホルモンの働きには、男女で平均的な違いがあるとされています。この記事では、その違いがどこから来るのか、公的機関の資料や研究知見を踏まえて詳しく解説します。

なぜ「男女で違うのでは」と言われるのか

二日酔いの起こりやすさは、体格・体質・飲酒習慣など多くの要因が絡み合って決まります。厚生労働省が運営する健康情報サイト「e-ヘルスネット」では、女性は平均的な体重が軽いうえに体脂肪率が高く、体内の総水分量が少ないため、男性と同じ量のアルコールを摂取すると血中アルコール濃度が高くなりやすいと説明されています。この記事では、この点を中心に、体格・水分量の違いと、その他の要因について詳しく見ていきます。

体格・体内水分量の違い(なぜ「薄まり方」が違うのか)

ガラスについた水滴のアップ

アルコールは、体の中の水分に溶け込んで全身に広がっていく性質があります。これは、コップ一杯の水にインクを一滴たらすのと、お風呂いっぱいの水に同じ一滴をたらすのをイメージすると分かりやすいかもしれません。同じ量のインク(アルコール)でも、水の量(体内の水分量)が少なければ濃く、多ければ薄くなりますよね。これと同じことが、体の中でも起こっています。

一般的に女性は男性に比べて体脂肪率が高く、体重に占める水分の割合が少ない傾向があります。アルコールは脂肪には溶け込みにくいため、「薄めるための水」が男性より少ない状態になりやすい、というわけです。そのため、同じ体重・同じ飲酒量であっても、女性の方が血中のアルコール濃度が高くなりやすいと言われています。

実際に、法医学や薬理学の分野では、この「体内でどれくらい薄まるか」を計算するために「Widmark(ウィドマーク)式」という古くからの計算式が使われており、その中でも体内の水分量の違いを反映する数値には、男性用と女性用で異なる値が使われています。これも、体格による男女差が数値として裏付けられている一例です。

アルコール分解に関わる酵素の個人差・男女差

アルコールの分解には、肝臓のいくつかの酵素が関わっています。まず「ADH」という酵素がアルコールを、二日酔いの原因物質であるアセトアルデヒドに変え、次に「ALDH2」という酵素がそのアセトアルデヒドを、比較的無害な酢酸に変える、という2段階の流れです。

このALDH2のはたらきには生まれつきの個人差があり、日本人を含む東アジア系の人には弱いタイプが多く見られます。ただし、これは男女差ではなく体質の違いです。「男性だから強い」「女性だから弱い」ということではありません。体質のタイプや調べ方は「お酒に弱いのはなぜ?下戸の原因と顔が赤くなる仕組み、体質の調べ方」で詳しく紹介しています。

一方で、胃での分解には男女差を示す研究があります。米国の医学誌に1990年に発表された研究(Frezza et al.)では、女性は男性に比べて、胃での分解のはたらきが弱いことが報告されています。アルコールは胃を通る間にも少し分解されるため、この「前処理」が弱いと、より多くが血液中に入ります。同じ量を飲んでも、女性のほうが血中アルコール濃度が上がりやすい可能性がある、ということです。

まとめると、肝臓の酵素のタイプは体質による個人差が中心、胃での前処理については男女差を示す研究がある、と分けて理解しておくと正確です。

女性ホルモン・生理周期の影響

女性特有の要因として、女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロンなど)が、アルコールを分解する肝臓の働きに影響を与える可能性があることも指摘されています。生理周期の中でこれらのホルモンの分泌量は変動するため、時期によって「普段よりお酒が回りやすい」と感じる方がいるのも、こうした背景と関係していると考えられています。

これは気のせいではなく、体調の変化として一定の説明がつく場合がある、ということです。生理前後で体調が優れない、普段よりお酒が残りやすいと感じる場合は、無理をせず飲酒量を控えることをおすすめします。

「なりやすさ」だけでなく、シーンによる違いもある

体の仕組みだけでなく、男女で「お酒を飲む状況」そのものに傾向の違いが見られることも、二日酔いへのなりやすさに関わってきます。

  • 男性:接待・営業など、断りにくい飲み会に参加する機会が比較的多く、ペースを自分でコントロールしづらい場面が多い傾向があります
  • 女性:女子会など自分のペースで飲みやすい一方、会話に夢中になって杯数を見失いやすい、子育てや家事などその後の予定に配慮が必要になりやすい、といった傾向があります

こうしたシーンごとの事情は、体質の違い以上に、実際の対策を考えるうえで重要なポイントになることもあります。

個人差の方が大きいことを忘れずに

砂時計

ここまで紹介してきた通り、体内水分量の違いや胃での分解の働きについては比較的裏付けのはっきりした男女差ですが、肝臓の分解酵素のタイプについては、性別よりも生まれ持った体質・民族による個人差の方が大きいと考えられています。「女性だから必ず酔いやすい」「男性だから大丈夫」と単純に言い切れるものではありません。大切なのは、性別にかかわらず、自分自身の体質やその日の体調を把握し、無理のない飲酒量を心がけることです。

まとめ

二日酔いのなりやすさには、体内水分量の違い、胃での分解の働きの男女差、肝臓の分解酵素の個人差、女性ホルモンの影響など、複数の要因が関わっています。体内水分量と胃での分解の働きは比較的よく裏付けられた男女差である一方、肝臓の分解酵素のタイプは性別よりも個人差の影響が大きいなど、要因によって性質が異なる点も分かってきました。性別による決めつけではなく、自分の体調に合わせた飲み方を意識することが何より大切です。

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参考文献

・厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールの吸収と分解」

・厚生労働省 e-ヘルスネット「2型アルデヒド脱水素酵素」

・「NEW エッセンシャル法医学 第6版」(医歯薬出版)Widmark式に関する記述

・Frezza M, di Padova C, Pozzato G, Terpin M, Baraona E, Lieber CS. “High blood alcohol levels in women. The role of decreased gastric alcohol dehydrogenase activity and first-pass metabolism.” New England Journal of Medicine, 1990;322:95-99.

・公益社団法人アルコール健康医学協会「アルコールと健康に関する学術情報」

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